大阪市教育振興基本計画では、「道徳教育の充実」として、基本的な道徳心・規範意識を培うことが挙げられています。道徳教育推進教師研修会は、学校において道徳教育を推進する道徳教育推進教師の教員に、「道徳教育推進教師の役割について理解を深め、道徳教育の充実を図る」ことを目的として、年間3回実施しています。

  

道徳教育推進教師研修会(3)

 

日時 … 平成29年2月6日(月)  14時30分~17時

場所 … 大阪市教育センター 2階 講堂(全体会)及び各研修室(分科会)

演題 …「道徳教育推進にむけて ~『特別の教科 道徳』の趣旨を踏まえて~」

講師 … 京都産業大学 教授 柴原 弘志 

「道徳教育推進にむけて ~『特別の教科 道徳』の趣旨を踏まえて~」

 

 全体会では担当指導主事から、大阪市の「道徳教育推進シートの結果分析」について、報告をしました。調査結果からは、各校の道徳教育推進についての課題解決にむけて、道徳教育推進教師が様々な工夫をしていることが分かりました。

 その後、「道徳教育推進にむけて ~『特別の教科 道徳』の趣旨を踏まえて~」の演題で、京都産業大学 教授 柴原 弘志先生にご講演いただきました。

 はじめに道徳の教科化についてこれまでの流れの確認をした後、この機会を最大限に生かして各校の、そして市全体の道徳教育の実質化と更なる充実に努めなければならないことを教示いただきました。また、「考え、議論する道徳」を目指して、授業の考え方をどのように変えていくのかについても、いくつかの教材を例に具体的な指導法を説明いただきました。「これまでも、そしてこれからも指導法には様々なものがあるが、絶対にはずしてはならないことは、道徳科の目標である『道徳的諸価値についての理解を基に、自己の生き方についての考えを深める』学習にしなければならない」ということを確認しました。さらに、様々な方法に振り回されることなく、目の前の児童・生徒がしっかりと自己の生き方を考えられる学習を考えていくことが、教科化への近道であることをお教えいただきました。最後には「道徳科の評価」について、先進校の取組を紹介しながら具体的な評価方法について説明いただきました。

 各区に分かれて実施した後半の分科会では、「各校における道徳教育推進シート」をもとに、道徳教育推進教師が、それぞれの取組を交流(情報交換)しました。道徳教育推進教師の工夫で学校の道徳教育が活性化した事例については、その方法を共有し、次年度への参考としました。また、課題となっていることについても出し合い、その課題解決に向けてどのような取り組みができるかを、道徳教育推進教師同士でアイデアを出し合いました。各研修室を回られた柴原先生には、道徳教育推進教師からの様々な質問に答えていただき、課題解決へのアドバイスをいただきました。

 

<受講者の声>

 ・ 教科化に向けて具体的に準備を進めるにはどうすればよいかわかった。

 ・ 道徳教育推進教師研修会で学んだことを、たくさんの学校で実際に伝達されていることがわかった。次年度は、計画的  に校内研修を実施していきたい。

 ・ 道徳の授業を確実に進めるための各校の工夫について知ることができた。これからも道徳教育推進教師同士で情報交換をしながら自校の道徳教育の充実に努めたい。

 ・ 柴原先生のお話から、道徳科の評価は、毎時間の指導を確実に行いつつ、児童生徒の学習状況の顕著な部分をみとっていけばよいことが分かった。

  

〈分科会で出た質問について〉

 ○後半の分科会では、講師の柴原先生に各研修室を回っていただき質疑応答を行いました。時間の関係で答えられなかった質問について、その回答を掲載します。

Q.教科化になれば、教科書はどうなるのですか。

A.小学校は平成29年度に採択され、平成30年度にはその採択された教科書で指導します。中学校は平成30年度採択で、平成31年度使用開始です。それにともない、現在使用している「私たちの道徳」はWEBのみの掲載になります。

 

Q.道徳教育と人権教育の関係をどう整理すればよいでしょうか。

A. 道徳科の内容には、人権教育と関連の深いものもあり、相互に補完することもできます。道徳科でその関連を活かすためには、道徳科の目標を達成できるよう、指導法等を十分確認して指導しなければなりません。安易に道徳科の時間に読み替えないよう注意が必要です。

 

Q.道徳科の評価は指導要録や通知表にどう反映するのですか。

A.道徳科の評価としては、「教科」になるので、年度末の指導要録への記載が必要となります。保護者の道徳科への関心も高く、通知表をとおして児童生徒の道徳科での学習状況や成長の様子を伝えていくことが大切です。

 

Q.ローテンション式で道徳科の指導をした場合、どう評価すればよいのでしょうか。

A.児童生徒の道徳科での学習状況を多くの指導者で評価することは、より客観的な評価とすることに有効です。そのためにも、それぞれの指導者からの情報を共有して、総合的に評価をつくりあげることが大切です。より具体的な評価とするために、「道徳カード」や「エピソード」の蓄積が必要となります。

 

Q.大阪市としての指導の方針を示してほしい。

A.形を示して徹底すればするほど、画一的な指導になってしまい、教科化への動きに逆行しかねません。さまざまな方法がありますが、本日の講演にもあったとおり、大切なのは道徳科の目標の達成です。学習指導要領に則って、教科書を使用して道徳科の目標を達成できる指導をすることが市としての方針であり、大阪市として現在重視している点としては、これまでも大切にしてきた「読み物資料」を中心とした指導です。

 

Q.年間35時間の取り扱いについて、「まとめどり」のような形はよいのか。

A.教科になってもこれまで通り、道徳科は、学校教育全体を通して行う道徳教育を補充・深化・統合するものであることに変わりありません。全体計画を作ることで、学校教育全体で進める道徳教育の方針を確認し、年間指導計画とのつなぎを「別葉」で明確にすることで、より効果的な指導が可能となります。時間割にある週1時間の道徳科を計画的に進めることが大切です。

  

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道徳教育推進教師研修会(2)

 

日時 … 平成28年8月8日(月)  9時30分~12時

場所 … 大阪市教育センター 2階 講堂 ・ 7階 研修室4 ・ 5階 講義室

演題 …「新たな発見のある『考えることが楽しい』道徳授業」

講師 … 大阪総合保育大学  講  師  藤田 善正 

     大阪市教育センター 教育指導員    芝田 育朗 

              教育指導員  宮脇 賢治

「新たな発見のある『考えることが楽しい』道徳授業」

  

  前半の部では、大阪総合保育大学の藤田先生により、「特別の教科 道徳」実施に向けた「新たな発見のある『考えることが楽しい』道徳授業」についてご講演いただきました。

 後半の部では、小学校と中学校の分科会にわかれて、藤田先生・芝田先生・宮脇先生による模擬授業を行いました。

 

 小学校分科会では、藤田先生に「2わのことり」「国ざかいのうりばたけ」「ロレンゾの友達」の資料をもとに、教師の発問に対して予想される子どもの反応を想定した「一人芝居形式模擬授業」をしていただきました。主に、導入時の具体的な発問や、ねらいに迫るための中心発問、「考え、議論する道徳学習」や「問題解決的な学習」「体験的な学習」の実際について教えていただきました。

 中学校分科会では、芝田教育指導員・宮脇教育指導員が、資料「一番乗りたけいち」をもとに、模擬授業を行いました。模擬授業を通して、資料分析のポイントやねらいにせまるための発問の重要性について、具体的に講義を行いました。

 

<受講者の声>

 ・ 道徳科の授業の具体を詳しく説明いただいた。2学期からの実践に活かそうと思う。

 ・ 授業に向かう前の「7つのポイント」が非常にわかりやすく、実践してみようと思った。

 ・ 講演と模擬授業のセットはとてもわかりやすく、有意義な研修となった。即実践に活かせる今日のような研修はありがたい。

・ 模擬授業の中で、具体的な発問例を提示いただいたので、指導法についてさらに深めることができた。

 

 前半の講義と、それを具体化した模擬授業で、充実した研修会となりました。

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道徳教育推進教師研修会(1)

日時 … 平成28年6月13日(月)  午後3時~5時

場所 … 大阪市教育センター 講堂

演題 …「『特別の教科 道徳』の実施に向けた道徳教育及び道徳の時間の充実」

講師 … 文部科学省初等中等教育局教育課程課 教科調査官

     国立教育政策研究所教育課程研究センター 

           教育課程調査官     赤堀 博行 

 

「特別の教科 道徳」の実施に向けた道徳教育の充実 

     

          

赤堀先生には、「特別の教科 道徳」に向けての道徳教育と道徳の時間の重要性 についてご講演いただきました。 

・  まずは道徳が教科化されることになった背景を十分理解することが大切。いじめ問題への対応、社会の変化への対応、そして何よりも道徳教育の「量的確保」と「質的転換」をしっかりと意識しなければならない。

・ 「考え、議論する道徳」「多面的、多角的に考える」「問題解決的な学習」「体験的な学習」等、いずれも形を求めるのではなく、「ねらい」を達成するための方法として取り入れることが重要。

・ 教科化に向けての準備については、学校の道徳教育の目標をしっかりと設定し、その達成のために計画的に指導できるようにしておくことが大切。

・ 教科化に向けて、また評価に向けて、今一番やっておかなければならないことは、道徳の時間を計画的に実施し、積み上げおくこと。

 

様々な事例や例えをもとに、具体的にご説明いただきました。

 

 【受講者の声】

   ・ 教科化までの経緯がわかった。今後は、道徳指導がどう変わっていくのか授業の実際について深めていきたい。

   ・ 教科化に向けて準備しておかなければならないことについて、具体的に説明をいただき、学校に戻って早速取り組んでいきたいと思った。

   ・ 学校の道徳教育の目標をしっかりと設定し、その達成に向けて計画的に取り組んでいくことの大切さがわかった。   

   ・ 毎週の道徳の時間の積み重ねが大切だということを意識できた。毎時間を大切に取り組んでいきたい。