相談事例 6.整理整頓が苦手で、忘れ物が多い子どもへの支援
相談事例 6.整理整頓が苦手で、忘れ物の多い子どもへの支援 (小学校2年生) |
忘れ物の多いAさん
小学校2年生のお子さんに関して担任とコーディネーターの先生から相談がありました。
「Aさんは毎日忘れ物をし、忘れ物に気がつくと、いてもたってもいられないようです。先日は水泳バックを忘れたのに気づいて、休み時間に黙って家に取りに帰り、大騒ぎになりました。また、整理整頓ができず、よく物をなくします。朝5本あった鉛筆が帰るときには全部ないといったこともありました。Aさんには、『気をつけなさい』という指示だけではうまくいきません。どのような支援をすればよいでしょうか」

山のようになる机の上
担当者は、Aさんの学習開始時・終了時の様子や学用品等の管理について担任の先生に尋ねてみました。
「授業が終わると机の上を片付けずに、すぐに運動場へ飛び出していきます。教室へ戻ってくると、前の教科書の上に次の教科書やノートを積み上げてしまいます。その状態で、机の上からよく物を落とします。おうちでも片付けが苦手なようで、ゲームのカセットをなくしてパニックになったと保護者から聞いています。忘れ物をした時には、そのことを突然思い出して慌てだします。水泳バックを忘れた時は、友達の水泳バックを見て気づき、慌てて教室から飛び出したそうです」
子どもの取り組みやすい、具体的な工夫を
担当者は「興味あることに気をとられ、必要な注意の集中や持続がうまくいっていないことが考えられますね。自分で気をつけて取り組めるように工夫していきましょう」と答え、次のように提案しました。
「机の横に手提げ鞄をつって、勉強が終わった教科書は、その手提げ鞄に入れる。机の中からは、次の教科書を出す、というように出し入れの流れを一方向にしてわかりやすくしたらどうでしょうか。帰り支度の時には、手提げ鞄からランドセルに中身を移します」
「次に、机の上に教科書やノート、筆箱を置く位置を決めておくのはどうでしょう。机の上の並べ方をイラストにして、机の上に貼っておきましょう」
「また、片付けを促す言葉は、『ちゃんと片付けなさい』ではなく、『鉛筆を筆箱にしまいなさい』などと具体的に言ってあげてください」
「忘れ物対策には、持ち物チェックシートを活用しましょう。これには家庭の協力も必要です。また、ものを忘れたときは『先生、○○を忘れました。貸してください』と助けを求めるなど、対処法を学ばせましょう。そして、その対処ができたらしっかりほめてあげてください」

できることを増やすことで自信をつける
先生は「【がんばるマン】カード」を作り、帰る前、Aさんと一緒に一日を振り返り、その日のがんばりをほめ、ごほうびにキャラクターのシールを貼ることにしました。
この取り組みを続けることで、机の上がきれいになり、Aさんが忘れ物をすることはほとんどなくなりました。そして、成功体験を重ねることを通して、「もう忘れ物はしない」と自信がもてるようになりました。
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(大阪養護教育振興会 月刊誌 「育誠」 平成23年7月号
「大阪市教育センターコーナー」より一部転載) |
登録日: 2012年2月23日 /
更新日: 2012年2月23日